教室に入れなくなった娘は、次の日から欠席。
担任の女性教諭と教頭(女性)学年主任とで、今後の対応について話し合った。
私はパニックになっていたので、細かいところは覚えていない。
ただこのままでは不登校になる。それだけは避けたかった。
パニック
学校側の提案は「相談室に通う」というものだった。
遅刻・早退はなく、みんなより遅く登校できる(鉢合わせしないよう)というもの。
半パニック状態の私は、娘に聞くことなく提案を受けた。
そしてお願いもした。
「相談室に通うことを、クラスの人たちには伏せて欲しい。」
いつかは分かることだけど、娘に不利になることは避けたい・・その一心だった。
家に戻り娘に説明すると、「行かなきゃダメなんだよね。」と
苦笑いを浮かべた。
「教室には行かなくていい。でも、先を考えると出席は必要だよ。」
娘はムリに納得して、うなずいてくれた。
完全送迎で、しばらく相談室に通っていたが校長から呼ばれ
「このまま隠し続けるのは無理です。」その必要性はなんなのか?
というようなことを言われる。
確かに・・その通りである。
相談室は基本、授業は受けられない。
授業を受けるには、所属するクラスに行かなければならない。
でも娘はクラスに入れない。
なので7組という特別教室で、授業を受けさせてもらっていた。
この時、相談室から7組の移動で生徒たちとバッタリ会ってしまうことがあり
私が「相談室登校は伏せて欲しい」と言っていたので
先生方はかなり苦慮されたらしい。
本当に申し訳ないことをしてしまった。
この時点でようやく「相談室登校」を私が受け入れられた。
そしてそれを本当の意味で受け入れるために、連日話し合っていた私と娘は、学校にお願いをする。
「いじめた子と話しをさせてもらいたい。」
決意
「私たちは、いじめた子たちに怒っているんです。」
そういうと校長は心底不思議そうな顔をしていました。
「怒っている?」
「はい。何故こんな目に合うのか納得できません。子ども同士でトラブルがあったのなら未だしも、何もない。友達だと思ってた子からは無視される。理由がわからないし、何故そんなことをしたのか聞きたいんです。」
校長は難しい顔をして思案していました。
「なるほど・・・話し合いと言っても、どんな形で?」
娘と決めてきたことを言いました。
「本人と1対1で。」
「子供同士で?」
「そうです。本人が納得がいかないんです。」
娘はまず、状況の打開を図るために、直接話をしてみると言ったのです。
親の私も最初に聞いた時に、ちょっと驚きました。
こんな状況でも前を向こうとしているんだ・・・と。
教室に入れないほどボロボロになっても、打開策を探して前を向く娘を全面的にバックアップしていく決意をしました。
しかし後日行われた話し合いは、惨憺たるものでした。
温度差
学校側は娘の希望を受け入れ、話し合いの準備をしてくれました。
担任・学年主任・校長が立ち会うことになりました。
娘が指名したのは2人。
主犯の子と、友達だと言いながらいじめっ子側についた子。
この二人と個別に話し合うことになった。
事前に相手の親御さんに了解を得てからの、話し合い。
そして話し合いの結果は
いじめた子は「やってない」「知らない」「覚えてない」の一点張り。
これは想定内だったんだと思いますが、とてもイヤな気持ちになったし許せないと伝えたら
ニヤニヤしていたそうで、これにはショックを受けていた。
もう一人は「みんなやってるのに、なぜ私だけ呼び出されるのか納得できない。」と泣きじゃくっていたそう。
先生も諭すことなく、話し合いの後「○○は泣きながら帰ったぞ。」と言ってきたそうだ。
先生も一方の肩だけを持つわけにもいかないのだろうが、ハッキリと温度差を感じた。
ありありと「これで気が済んだ?」という感じがしたそうだ。
長いトンネル
その後は明らかに、学校側と私たち親子の向いている方向が違ってきた。
学校側は「教室に戻れるように促す」
私たちは「毎日、学校に行くことを目指す」
目的が違うので、対立していくことになり、お互いが理解不能になっていく。
たとえば、担任は嫌がらせした生徒に、相談室に娘の分の給食を届けさせた。
たぶん「十分反省したし、敵意はありません。」ということを言いたいんだと思う。
でも娘にしてみれば、話し合いで認めも謝罪もしなかった相手を見たくもないのが本音。
こちら側に譲歩と我慢を強要しているのが、担任にはわかっていなかった。
「給食を届けてもらいたくない。」と伝えると「あの子も反省しているのに、かわいそうでしょう。」と言われたそうだ。
その後も運動会があるから、合唱コンクールがあるから、と事あるごとにクラスに応援メッセージを書けと言われイヤイヤ書いていた。
何がイヤかというと、ウソを書かなければいけないというプレッシャーだ。
応援したくもないし、関わりたくないクラスに「頑張ってください。」という気持ちはツラい。
クラスの子たちも茶番に思っているだろうことは、想像できる。
娘のために1日でも早くクラスに戻れるようにと言っているが、何も見ていない担任のやり方に愕然とした。
私は担任に「対応に疑問を感じるし、苦痛でしかない。先生は担任であるけれども、これからは教頭先生とコンタクトを取っていくので、こちらのことは気にしないで欲しい。」と伝えた。
申し訳ない・・と頭を下げた担任だったが、このあとも一悶着し体育の担当だったこの先生は、卒業まで娘に体育の成績は「1」を付け続けた。
いじめは姿を変えて、私たち親子を苦しめていくことになる。
ここは長いトンネルのまだ入り口だった。
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