ガイドの仕事の楽しいことは、お客様との出会いです。
社員旅行・遠足・林間学校・ツアーなど旅行のパターンは決まっていますが、お客様とは一期一会、同じお客様とお会いしたことはありません。
あっ・・・一度だけありましたね。
伊豆方面一泊から戻り、東北方面一泊のお仕事に行ったら、同じ女性のお客様で、お互いに驚きました。
いや・・でも私はお仕事ですから、南へ北へ東へ西へと当然ですが、出会ったお客様は本当に普通の50代の女性です。
「ガイドさんて本当に、毎日違うところへ行くのね~。大変なお仕事ね~。」
なんて労っていただきましたが、お客様の方が凄いです!
「だって行きたいと思ってた旅行先が、たまたま時期が重なちゃって。」
そうですか~そんなに我が社のツアーをご利用いただき、誠にありがとうございます!
「いえいえ・・ちなみに来月も行く予定。四国なんだけど・・・。」
なんと!今まさに力を入れてるツアーにお申込みいただいて・・ありがとうございます!
本当に旅行好きの方がいらっしゃるんですね。
そんなことが一度だけありました。
デジャヴ?
そんなある日、予定表を確認すると「○○商事」
ん?・・・・○○商事・・・ん~~~?
なかなか認め印を押さない私に助役さんが
「あっそれね、向こうから同じガイドさんでっていうことなんで。」
は?向こうから・・・?
「ほら・・けい〇つの人ってちょっと変わってたでしょ?慣れたガイドさんの方が安心なんでしょ。」
慣れた・・・って2回目ですけど・・てか、たぶん慣れないと思いますけど。
「ということですから、お願いしますね。」
了解です。お仕事ですから・・・気合を入れていかないと。
そしてその日、指定場所(前回と同じ場所)に配車すると、数人の方が待っていらっしゃいました。
「おはようございます。」と挨拶すると、これまた爽やかに
「おはようございます。」と返してくれました。
前回もそうでしたが、挨拶はとても爽やかです。
でも、前回の方が体育系の爽やかさなら、今回の方はインテリ系の爽やかさです。
そして定刻で幹事さんの号令で出発になりました。
前回と行く温泉地も工程もガイドも同じですが、運転手さんは違う方でしたので
「また乗り遅れた人がいて、パトカーが来たら・・どうしよう。」
と、ちらりと考えましたが今回はさすがに、それはありませんでした。
やっぱり何かあるのね
前回の方々のように爆発的な賑やかさはありませんでしたが、みなさんそれぞれ楽しんでいるようにみえました。
気になると言えば、運転手さんの後ろに座った方が
「ここは制限速度で。○○を過ぎたらバンバン出してもOK。」
なんて妙なレクチャーをしている方もいました。
そして旅は順調に進みました。
が、ちょっと変わってるな?というか、気になる行動がありました。
途中休憩のドライブインで、その気になることが明確になりました。
二人一組で行動しているんですね。
といって、仲良く話しをするわけでもない様子です。
もちろん仲が悪いわけでもありません。
いうなれば・・自然体という所でしょうか。
そしてその理由がバス内の会話で分かりました。
「休みの日に嫁に、くっつくな!て言われちゃったよ。」
「いつも二人行動だから、気が付くと側に行っちゃってんだよな。」
私もバスを降りてからもペアで歩いてるので、不思議でしたと言いました。
「ですよね・・男がペアでなんて、気持ち悪いよね。」
いえ・・お仕事ですものね。頭が下がります。
「でもさ、ペアじゃないんだよ。バディっていうの。ちょっとはマシでしょ?」
なんて笑わせてくれました。
なんか前回とは違うスマートさで、同じ職種でもちがうんだな~なんて思いました。
最後までスマート
ホテルに到着すると、やはり前回と同じでホテル前で写真撮影です。
今回も一緒にと誘われ、なんと
「運転手さんも一緒にいかがですか?いいでしょ?」
ということで、今回は運転手さんも一緒でした。
これはとてもレアです。
私の(短いですが)ガイド生活の中で、この旅行の一度だけでした。
運転手さんもちょっと照れながら、写っていました。
前回と違って宴会は別(これが普通です)でした。
こういう気づかいもなんか、スマートだな・・・と、思いました。
決して前回の方が、ゴリゴリ押してくるということではありませんが・・・。
そして私たちの方も食事を終え、それぞれ自室で休んでいました。
お風呂も入り、そろそろ休もうかと思っているとノックがしました。
はい?と返事をすると
「すみません。フロントです。」
何事かと思ってドアを開けました。
まさにホテルの方が立っていました。
私が不思議そうにしていると、フロントの方は頭を下げて下がっていきました。
後ろに立っていたのは、お客様でした。
「ダメだよ。すぐドア開けちゃ。確認しなきゃ。」
あ・・はぁ・・、すみません。
というか・・どうされました?
「宴会終わったら、アイスが食べたくなっちゃって。どうせならガイドさんと食べようと思って。」
と、袋に入ったアイスをかかげて見せました。
袋の中には3つのカップアイス。
そうですお客様は、バディです。
私は有難くお誘いを受けて、廊下の休憩室で3人でアイスを食べました。
それにしても、よくフロントの方が教えてくれましたね。
「それはさ・・・なあ・・・。」
とバディと目配せしながらジャケットの内ポケットから、黒っぽい手帳を覗かせました。
なるほど・・・そういうことだったんですね。
お客様は、いたずらっ子のように笑いました。
本当に最後までスマートでした。
○○商事のお仕事は、面白いです。
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