どこにでもある話し

どの会社でもそうですが、ガイドも入社後に研修期間に入ります。

研修所に入り40日間の研修に入ります。

当時は日曜日が公休で、月曜日~土曜日(半日だったかな~?)まで。

土曜日、研修が終わると各自帰宅し、日曜日の8時までに研修所に戻ります。

研修は学校の授業と変わらず、一日6時限ありガイドの基礎を学びます。

会社の歴史からガイドの仕事とは何たるか。

マナー講座やメイク講座、発声練習や実地練習なども行います。

難しくも楽しい日々

慣れないことばかりで大変でしたが、どの勉強も新鮮で面白かったですね。

ここでは入社した同期が、文字通り同じ釜の飯を食うことになります。

4人一部屋を与えられ、切磋琢磨していくわけです。

この研修期間が終わると、それぞれの営業所に配属されるので寂しい気持ちもありました。

ただ約一年間は、何度か研修があります。

数か月ごとに逢うことになるのですが、現場に立つとこんなに変わるのか・・というくらい顔つきも変わります。

その度に成長していく同期が眩しく映りました。

指導ガイド

これは各営業所から、現役のガイドを新人の指導をするために出します。

どちらかというと名誉職に近い感覚ですが、指導ガイドを出す営業所は一目置かれるとか。

新しいバスを優先的に入れてもらえる・・とか、噂程度ですが言われていました。

新人のガイドから見れば、雲の上の人である指導ガイドは、仕事だけでなくいろんなことを教えてくれました。

たとえば・・・

「目上の人に、ご苦労様と言ってはいけないのよ。」とか

「トイレに入ったら、ペーパーは三角に折ってね。」とか

「私○○会社の人と結婚したいの。知り合いにいない?」とか。(笑)

それから仕事でのエピソードなども聞かせてくれました。

あのホテルは気を付けて

先輩から聞かされたこの話しは、忘れられませんでした。

「いわくつきのホテルって聞いたことある?」

怪談話のたぐいなら、聞いたことはありますが、どうやらそういう話しではなさそうです。

乗務員の間で口伝されている話しと聞けば、尋常ではないと思いました。

いくつかあるらしいのですが、その中でも比較的お仕事で行くことの多いホテルの話しでした。

そこは人気の観光地で、そのホテルも評判の高いホテルです。

本当に出る(怖い)のだったら、噂になってお客様も遠のくのでは?と思いました。

ところがそこは、客室ではなくて乗務員専用の宿泊部屋の出るというのです。

マジか・・・・。

しかもガイドの霊だというのです。

マジか・・・・・。

何があったのかというと・・・

「10年くらい前の話しなんだけど、ある観光バスが、そのホテルに仕事で泊まったのね。当時から人気のホテルのだったのに、乗務員は飛ばされないで泊まれたわけ。それが裏目にでちゃったのよね。ガイドさんが酔ったお客に乱暴されて、それを苦にして首を吊ったんですって。」

なんということでしょう。酷すぎる話しです。

「それからしばらくすると、乗務員とくにガイドから、あそこは出る・・て言われるようになったのよ。」

なんでも部屋に泊まると、いつの間にか女の人が立っていてこっちを見てるそう。

みんなの見解では、自分と同じ目に合わないように心配して出るとか・・・。

何とも複雑な思いがするお話しです。

そしてそれは乗務員の間で口伝されて行き、私の耳にまで届いたわけです。

「あのホテル2~3年前に乗務員専用部屋を改装したのよ。おかしいでしょう?乗務員部屋をわざわざ改装なんて。噂があまりにも出回ったので、キレイにしたらしいの。自殺のあった部屋も、トイレにしてしまって泊まれないようにしたのよ。」

マジか・・・でもトイレにするというあたり、信ぴょう性高し。

なるほど・・解決したというわけですね。

「それが・・・トイレの真ん前の部屋には出るんですって。」

!・・・・・そんな~。

そして独り立ちした私は、そこに泊まることになるのです。

そのお話は、また今度。

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